電気主任技術者の2時間ルールとは?不在時の対応や緩和措置について解説

電気主任技術者制度には現着の時間を定めた、いわゆる2時間ルールがあることはご存知でしょうか?
この制度は事業場に2時間以内で到達できる者でなければ選任できないというものです。
(例えば、東京本社に勤務の電気主任技術者を大阪工場に選任することはできません)
今回は、この制度が適用される選任形態について解説します。
また、実際の業務では病気やトラブルなどで2時間以内に到達することができない状況もあり得ます。
そんなときはどうしているのか、実体験をもとに解説したいと思います。
- 条件を満たせば2時間ルールは緩和される
- 代行者を指名することで旅行に行くことも可能
- 2時間ルールは現着の制限時間を定めたものではない
2時間ルールが適用されるケースは?
2時間ルールとは、電気主任技術者が現場に常時勤務(週40時間が目安)していない場合に適用されます。
形態としては、統括選任・兼任・外部委託が該当します。
2時間ルールを定めた条文
- 外部委託の場合
-
施行規則にて、遅滞なく到達することが定められています。
委託契約の相手方(委託契約の相手方が前条第二号の要件に該当する者の場合にあっては保安業務担当者)の主たる連絡場所が当該事業場に遅滞なく到達し得る場所にあること。
電気事業法施行規則第53条第2項6号
https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50000400077#Mp-Ch_3-Se_2-Ss_2-At_53-Pr_2-It_6さらに、内規にて「遅滞なく到達」とは2時間以内であると定められています。
規則第53条第2項第6号の「遅滞なく到達」とは、2時間以内に到達することを要
主任技術者制度の解釈及び運用 4.(9)
することとする。(略)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/syuningijutsusya_naiki.pdf - 統括選任の場合
-
内規にて、2時間以内に到達することが定められています。
被統括事業場は、次に掲げる要件の全てに該当する場合を除き、統括事業場から2時
主任技術者制度の解釈及び運用 3.(1).③.ア
間以内に到達できるところにあること。(略)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/syuningijutsusya_naiki.pdf - 兼任の場合
-
こちらも内規にて2時間以内と定められています。
兼任させようとする事業場等は、兼任させようとする者が常時勤務する事業場又は
主任技術者制度の解釈及び運用 6.(1).④. イ
その者の住所から2時間以内に到達できるところにあること。(略)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/syuningijutsusya_naiki.pdf
2時間ルールの特別措置
外部委託の場合、離島や人口の少ない地域に限りルールを配慮するとの記載があります。
これは、設置場所から2時間以内に到達出来る電気管理技術者等が存在しない場合が考えられるためです。
申請に係る自家用電気工作物が離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1
項の規定により指定された離島振興対策実施地域(略)
又は過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和3年法律第19号)第2条第1項に規定する過疎地域(以下「過疎地域」という。)に設置される場合には、当該申請の審査に当たっては保安管理業務の円滑かつ適切な実施に支障が生じないよう配慮することとする。
主任技術者制度の解釈及び運用 4.(10)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/syuningijutsusya_naiki.pdf
電気主任技術者は旅行に行けないというのは本当か
ここまでみてきたとおり、2時間ルールが定めていることは、選任場所は拠点(勤務地や家)から2時間以内に到達できる場所でなければならないということです。
これは常に2時間以内で到達できるところに居なければならない、ということではないと思っています。
とはいえ、旅行や病気など長期間拠点を離れたり、対応ができなかったりする場合はあらかじめ代行者を手配をしておく必要があります。
選任事業場の場合は業務を代行させる人を指名します(保安規程に記載があるはずです)。
電気管理技術者の場合は同業者に代行を依頼しておくか、代行の仕組みがある団体に所属するなどして、万が一の場合に備える必要があります。
したがって、気軽にとはいきませんが旅行へ行くことも可能です。