「自家用電気設備」とは何なのか、「設置者」とは誰なのか

新しい事業を始めるとき、電気と電気の安全管理は欠かせません。しかし、まったく聞いたことのない「自家用電気工作物」、「設置者」といった用語に辟易している方も多いのではないでしょうか。

この記事では、電気管理技術者としての立場から、これらの用語をわかりやすく説明いたします。

この記事のまとめ
  • 自家用電気工作物は工場やビルなど大規模な電気設備のこと
  • 設置者とは電気工作物の所有者や占有者を指す
  • 設置者には電気工作物の自主保安が求められ、大きな責任を負っている
目次

電気工作物とは

電気事業法において、電気を使う機器などは「電気工作物」とよばれ、「電気設備に関する技術基準を定める省令」という大変事細かな基準に適合するように維持・管理しなければなりません。

電気工作物の定義

電気事業法で定められる電気工作物の定義は非常に広く、電気の使用のために設置するものほぼ全てが含まれます。

ただし、例外として他の法律が適用される等の理由から以下の電気工作物は定義に含まれず、技術基準が適用されません。

電気工作物の定義から除かれているもの
  • 鉄道事業法などが適用されるJRや私鉄の車両内部の電気設備
  • 船舶安全法が適用される船舶内部の電気設備
  • 道路運送車両法が適用される自動車内の電気設備
  • 航空法が適用される航空機内部の電気設備
  • 陸上自衛隊・海上自衛隊の使用する船舶内部の電気設備
  • 電圧30V未満の単独回路
  • 電力用保安通信設備以外の通信用の弱電流設備

電気工作物の種類

電気工作物は大きく2つに分けることができます。それが「事業用電気工作物」、「一般用電気工作物」で、自家用電気工作物は事業用電気工作物に含まれます。

出典:経済産業省 電気工作物の保安

事業用電気工作物

電気事業の用に供する電気工作物(電気事業用工作物)

電力会社等の送配電設備や発電設備のこと

自家用電気工作物

工場や大きなビルなどの比較的大規模な電気設備のもの

一般用電気工作物

一般家庭や商店など

自家用電気工作物とキュービクルの違い?

キュービクルとは、下記のような電気設備を収めた箱のことです。

自家用電気工作物とは、キュービクルも含めた電気設備の総称です。

電気工作物の設置者とは

電気事業法では、すべての電気工作物は技術基準どおりに維持しなければならないと定められていることについて述べました。それでは、だれが維持を行わなければならないのでしょうか。

電気工作物を維持する責任は誰にあるのか

電気事業法において、電気工作物を技術基準に適合させる責任の所在は以下のとおり定められています。

自家用電気工作物

 自家用電気工作物を設置する者(設置者)

一般用電気工作物

 一般用電気工作物につながる電線を維持するもの(電力会社)

設置者とは

設置者とは個人をさす言葉ではなく、自家用電気工作物の維持・管理を行い得る主体(組織や集団)であって、自家用電気工作物の所有者または占有者のことです。

所有者

工場や大きなビルを所有する会社のこと

占有者

本来の所有者から電気工作物をすべて借り受け、維持・管理の主体となった場合

みなし設置者

ビルメンテナンス会社が本来の所有者から業務委託を受け、維持・管理の主体となった場合

設置者の義務

電気事業法では設置者に対し、自主保安体制確保のため以下の義務を課しています。

  • 常に技術基準に適合するよう電気工作物の保安を維持すること
  • 保安管理体制を確立するため、保安規定を作成し国に届け出るとともに、これを遵守すること
  • 電気主任技術者を選任し、電気工作物の保安の監督をさせること

自家用電気工作物の設置者は大きな責任を負っている

いかかでしたでしょうか。電気事業法では、自家用電気工作物の設置者が電気設備の安全を維持・管理することを定めており、自主保安、自己責任が原則となっています。

設置者は保安を確保することが社会的に重要な義務であることを認識する必要があります。

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